ツヤ感があり高級感あるシルク。
独特な光沢と手触り、ドレープ性はお着物、ドレスなど晴れの日の主役となる素材。
普段使いできるスカートやワンピース、スカーフなど様々な商品にシルクは使われています。
市販の染み抜きが使えなかったり汚れを落とすはずが、逆に生地を痛めてしまったり繊細な素材でもあります。
高級な素材だからこそ、正しいケアを知っておきたいところ。
高級シルクを長持ちさせる、正しいケア方法をお教えします。
シルク(絹)とは?素材の特徴とメリット
まずは、シルクはどのような素材なのか特徴とメリットを解説します。
紡績不要な長繊維(フィラメント)
シルクは繭繊維(まゆせんい)といい、蚕(かいこ)から作られた繊維です。
長繊維(フィラメント)と呼ばれる、長い生糸(約1200~1,500m!)で紡績も不要です。
天然繊維で長繊維はシルクだけ。
撚りを加えていない生糸を精錬した糸を、練り絹(絹糸)と呼ばれています。
野蚕(やさん)絹・ワイルドシルク|野生の蚕からとっともの。太く節があり、ネップ(糸のかたまり)がでる
家蚕(かさん)絹・マルベリーシルク|室内で育てられた蚕からとったもの
絹紡糸(けんぼういと)・スパンシルクヤーン|絹の屑繊維を混ぜて撚りをかけたもの
シルクは動物性のため、主成分はたんぱく質、厚さ3デニールと薄いのが特徴です。
家蚕絹は主にドレスや和服、スカーフ・ニット等のに使われることが多く、野蚕絹はインテリアにも多用されています。
どの繊維にも負けない光沢感・高級感
シルクといえば、やはりツヤのある光沢感が最大のメリットといえます。
細くて軽い素材なのでドレープ性があり、独特の光沢と感触。
奮発してシルクのアイテムを買ったとき、高級感からつい触り続けてしまうという人も多いのでは。
シルクがドレスや着物に多く使われるのは納得ですね。
最近では、値段を安価にするためにポリエステルなどシルクに似せた安価な素材のドレスも多く出ていますが、やはりシルク独特の光沢感は憧れです。
シルクは丈夫でほどけにくい
細くて軽いシルクですが、とっても丈夫。
「絹鳴り(きぬなり)」という言葉があるほど、シルクのスカーフを結ぶと「キュッ」と音が鳴ります。
ハリやコシがあるので、シルクはスカーフにも多く使われているんですね。
ほどけにくいのもシルクの長所です。
シルク(絹)のデメリット・取り扱い注意点
高級感があり、高貴なシルクですが、取り扱い方法はとても繊細。
シルクの取り扱いで注意するべき点について解説します。
シルクは紫外線で黄変する
シルクは太陽や蛍光灯の紫外線で変色してしまうデメリットがあります。
変色は、シルクを取り扱う中で一番注意したいポイント!
黄変の理由は、空気中の酸素や紫外線によってアミノ酸が酸化し、分解されメラニンに変わるため。
白物のシルクのお洋服、お手入れなしでは徐々に黄ばんでいくのです。
太陽光はもちろんですが、蛍光灯の下でも黄変してしまうので、保管の際は光に注意しましょう。
人間が紫外線で日焼けするのとおなじ!
虫害・カビが発生する
シルクは虫害と、カビにも注意が必要!
光沢があり、一見汚れがなさそうだからといってシーズン終わりのクリーニングを怠ると大変なことに。
絹はタンパク質が成分なので湿度の高いところや、汚れが付着した状態で放置すると、すぐにカビ・虫害の被害に遭ってしまいます。
翌年着ようと思ったら「カビだらけ!!」なんて悲しいことも珍しくありません。
また、クリーニングに出してお手入れしても、ビニールカバーのまま保管なんてことしてませんか?
クリーニング後のビニールのまま保管したり、通気性の悪い場所はカビが増殖する原因となります。
せっかくクリーニングに出ても、カビだらけになりかねないので、クリーニング後のビニールはすぐに外しましょう。
梅雨の湿気・汗に注意
また、梅雨の時期の湿気はもちろんですが、夏の汗にも注意しましょう。
シミも発生しやすいため、シルクは雨天の着用は避けた方が無難です。
汗ジミの予防にもゆったりしたシルエットや吸湿性の良いインナーの着用がおすすめです。
値段が高い
繊細で貴重なシルクは、高価なのでなかなか手が出ない。
お手入れも大変ですが、普段着としてよりも特別な日に着たいですね。
高価だからこそ、スカーフなどの小物で取り入れるのは上級者◎
フィラメントレーヨンは、シルクに近い風合いを出した再生繊維なので、光沢感や高級感を出したいときにおすすめの素材です。
シルク(絹)のお手入れ・洗濯方法
デメリットも多くあるシルクですが、正しいお手入れで長く着用できる方法を紹介します。
シルクのお手入れは、ドライクリーニングがおすすめ
ドレス・着物の汚れ、年に数回着るか着ないかのアイテムは、年月が経ってから徐々に汚れが浮き出てくるので頑固。
汗などのタンパク質の汚れは初めは透明でも徐々に変色し、数年後には茶色く目立った汚れとして浮き出てきます。
やはり、着用後にドライクリーニングに出すのがシルクを長持ちさせる方法といえます。
100%シルクのシャツを、宅配クリーニングを利用して出したところ丁寧にお手入れを行ってくれました。
扱いが難しい素材ほどプロに任せるのが確実です。
セルフでシルクのお洗濯は避けたほうがいい?
シルクはほとんど洗濯機の使用は不可。
洗濯機を使うと、摩擦によって毛羽立ちが発生し、せっかくの光沢感と肌さわりが台無しになってしまします。
それでも自宅でお手入れをしたい!それなら手洗いで部分的なケアを。
最近ではシルク混紡で手洗い可の商品も多く出ています。
手洗いでお手入れする場合は、シルク専用の中性洗剤を用いて振り洗いを。裏向きにして洗うのがポイント!
絞るのはNGなので、すすぎを十分行ったあとはバスタオルで抑えながら水気を取ってください。
陰干しをすると◎
水洗い可能なシルク製品はある?
ほとんどのシルク製品は、水洗い不可ですが、最近では「水洗い可能」なシルク製品も登場しています。
ただ、、水洗いができるシルクは表面が白っぽく、粉を吹いたような素材感になっています。
これは、生地の段階で繊維を分離させて、水洗いによって生じる変化を抑えるため。
シルク混の商品もデリケートなのでネットに入れて取り扱いをするのがオススメ。
水洗い可能を謳っていないシルク製品は、やはりドライクリーニングでのお手入れが間違いありません。
オフシーズンの保管方法が知りたい
シルクの主な注意点は黄変と虫害。
風通しのよい場所でハンガーにかけて保管しましょう。
黄変を避けるため、日差しの少ない場所が最適です。
汚れや紫外線から守る、通気性の良い不織布のハンガーカバーにかけて保管するのがおすすめです。
防虫剤も忘れずに入れると長くきれいにシルク製品を着ることができます。
シルクのお手入れまとめ
正直、セルフで絹をお手入れするのは避けた方が良いです。
普段着のブラウスやスカーフなどの、ちょっとした汚れならダメージは少ないかもしれません。
- 黄変しないように、紫外線を避ける
- シミや汚れは年月が経ってから徐々に浮き出てくるため、はやめにドライクリーニングへ
- 虫害にあわないように、湿気・防虫対策をする
ドライクリーニングから戻ってきたら、風通しの良い日陰で保管をしましょう。
ここぞという時に身につけたいシルク。
正しいお手入れと保管で、長く着て思い出も残してくださいね。